jk1wsh’s blog

サラリーマンの無線日記

HL-550FX 退院

TOKYO HY-POWER SOLID STATE LINEAR AMPLIFIER
MODEL HL-550FX (550Wリニアアンプ、160m~6m)


忘れもしません、昨年12月21日(月) P5(北)から電波が出たらしい事件の2日目のことです。
15mPhでRS59で入感。久しぶりにリニアのSWを入れ、呼んだ途端にぶち壊れました(笑)

「どうせ、パワーを入れるためにオーバーロードしたのだろう」という声が聞こえてきそうですが、
アンテナ耐入力がPEP800Wなので、安心な出力は400Wそこそこであります。
また、故障の原因は結露に因るリレーの故障でした。ファイナルはピンピンしておりました。
奇しくもP5をコールするシチュエーションでぶっ壊れるとは、笑うしかありませんHi

・・・で、無事退院したリニアアンプが着弾
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電源を入れてみました。
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結構レアな商品です。東ハイが倒産する1年半前に、1アマ合格祝いで自分にプレゼントしました。
しかし、従事者免許が届く頃には仕事が繁忙期にさしかかり半年以上箱の中。
意を決してQROのための図面を用意し始めたのが翌年3月。落成検査は6月。
まともなアンテナは15m、10m、6mのトライバンダーでしたので、バンド限定で免許を変更申請。
ですので、総通の検索で私の免許状を見ると200W200W・・・・・・・500W200W500W500Wとなっております。
一見、200Werに見えます。

さて、本題に戻ります。
ご存じの通り、東ハイは倒産。アフターサービスが受けられません。
まずは修理依頼できるところを探さなくてはなりません。
皆様ご存じの有名ブロガーの天使様は大人気で、半年待ち当たり前です。

いろいろ探して修理は横浜のTBHDに依頼しました。
TBHDのご担当から転載の許可を戴いたので、写真や原文のコピーを使用させていただきます。

原因の特定が大変

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(以下 原文を引用)
何となく怪しいところは見えています。
今日は取り敢えず、PAユニット、PICユニット、DETECTユニットを取り出して確認しました。
まず、PICについては異常無しです。ココが壊れていたら少々厄介なことになっていたのですが、
まずはクリアできたので安堵しています。
ディテクター回路は先日調査済です。残るは制御ユニットです。
PAユニットの入力リレーの制御電圧が正常に出力されていない気がします。
回路図はありますが、規定電圧が不明なので、あるべき電圧値をICの構成から類推するしか術が無いため、
制御ユニットを取り外してICの足全てにテスターリードを宛て電圧を測定し、
回路上にプロットする作業を進めようと思います。
実はRF信号はリレーから先に流れていないことを突き止めました。
トランジスタがVCC/ON状態でRF信号が入力(出力しない)しないためにプロテクター機能が動作している可能性が高いのです。
PA基板の入力ジャンパ・ピン、保護ヒューズ、リレーまではエキサイタ信号が到達しておりますが、
リレーから先に流れて来ていません。
リレーそのものの故障も考えられますが、メンテナンス・フリータイプのリレーなのでどうでしょう? 
一応分解清掃してみます。
(以上 原文)

何とPAユニットが埃だらけ
(以下 原文を引用)
思い出しました。そう言えばこのPAユニットに大量の埃が付着していましたね。
あの量は確実に結露短絡してます・・。
だとすると、このリレー周りを疑うべきか・・・。まずは、分解清掃から・・・。
こちら、オーナー様にはお送りしていますが、以下の写真の通りの状況でした。
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リニアアンプは発熱量が多く、冬場で気温が下がる室内で使用した場合、確実に結露が発生します。
埃に水分が絡みつき「濡れ雑巾」になるので注意が必要です。
(以上 原文)

我ながら、「汚ったねー!」と唖然としてしまいました。
筐体は綺麗ですが、中の掃除を怠っておりました。
大型のクーリングファンが背面にあり、ここから大量の埃を吸い込んで蓄積したようです。
まさに、塵も積もれば・・・
半年に1回は清掃したほうが良さそうです。2年間サボっておりました。

原因を特定!
(以下 原文を引用)
HL-1Kfxよりもメンテナンス性は優れていると感じます。外装はよく似た2台ですが、
中のレイアウトは異なりますね。
1Kfxの方はパワーに対して、LPF群が小振りでユニットがリア・パネルに置かれています。
一方の550fxはディテクターをケース外に持って行き、リア・パネルに基板はありません。
LPF群はPAユニットの反対側、電源ユニットと背中合わせに装着されています。
メンテナンスを考慮した設計で非常に扱い安く、エンジニア好みのレイアウトです。
素晴らしいと思うのは、PAユニットを半脱状態にフックする穴があることです。
毎度書きますが、このメーカーの喪失はアマチュア無線界にとって大きな痛手です。
前置きが長くなりました。m(_ _)m さて、550fxの故障箇所についてです。
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先に結論を申し上げますと、PAユニットの入力あるリレーの不具合と断定しました。
こちら、制御ユニットからの指令で開閉するのですが、RF路の導通が確認できませんでした。
パナソニックの小信号用汎用リレーで、当ラボにもストックがございます。
こちらをリプレイスすることで機能回復するものと思われます。

制御ユニットから正常に電圧が出ていることを確認しました。
明日にも交換実施したく存じます。PAユニットのプロテクション・リレーを交換したところ見事に導通、
RF信号が先に届くようになりました。
今回の事象は、入力10w程度でODプロテクション作動という???な事象でした。
2パラPP、4個のファイナルは異常なしですし、最初に疑ったDETECTユニット内の方向結合器も問題なし、
最も危惧したPIC異常もなく正常にトリガーが出ていました。
(以上 原文)

さすがプロ、長年の経験と勘で見事に原因を突き止めました。

まとめ
(以下 原文を引用)
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PAユニットのアッテネーターとファイナルの間にリレーが入っています。
ここには制御ユニットから開閉指示が来ます。制御ユニットへはPICユニットからトリガーが発せられています。
PICは本体の外側にある入出力のコネクターが付いている小さな箱に収められたDETECTユニットで測定される、
入力レベル・出力進行波レベル・出力反射波レベルを演算して様々な異常状態を検知する仕組みになっています。
これらのフロー上にある“何処か”で異常が起こっていると診て参りました。
本機はRFラインにもヒューズがあり、
プロテクション系の冗長性に関しては申し分ない設計であることが頷けます。
それらの設計思想を理解していないと、なかなか修理箇所に辿り着けません。
プロテクションリレーは本来は異常に応じて開閉するのですが、今回はリレー自体が開き放しになったことで、
入力レベルに対して、あるべき出力レベル(進行波)が出てこないことから、
PICは“入力異常”と判断しプロテクション指示を発したものと思われます。

リレー自体は小信号用で、0.6A 125V(AC)定格です。
インピーダンス25Ω程度だとすると入力100wで2A/50V程度が流れますが、
手前に1Aのヒューズが入っているのと、固定のアッテネーターで十分減衰されますので、
リレーの許容範囲に収まると思われますが、前回お伝えしたように大量の埃山積+結露によって回路のインピーダンスが下がった場合、大電流が流れる可能性があります。
実際リレーの真横に大量の埃が詰まっていました。(写真参照)
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リレー故障の際に見られる外装の熱変形は見られませんが、メンテナンスフリータイプなので中の様子は分かりません。
こちらは汎用リレーで東京ハイパワー製品によく使われているデバイスです。
ラボ内にロット単位でストックがありますので、ガンガン使っちゃいましょう!!
リレー交換した結果、RF信号がファイナルへ到達しODプロテクションは点灯しなくなりました。
TS-870をエキサイタにしてテスト。
ダミーロード付きのMFJ-267(最大1.5Kwまで計測可能)にてパワーチェックしました。
元気よくメーターが振れています。
(以上 原文)

お疲れ様でした。
交換部品がリレー1個で助かりました。PICが逝かれたら修理に困難を来たすところでした。
さすがプロの仕事は違いますね。掃除をサボったために、勉強代を出費しました。
技術料金はそれなりにかかりましたが、詳細な説明をいただけたので満足しております。
ALCも繋いで、最大でも50Wロードでしたので壊れることは無いと慢心していたのが間違い。
大型クーリングファンで取り込む空気の量は半端ではありません。
後ろに紙のフィルターでも貼っておきましょうか(笑) そんなにヘビーに使わないですし。

ちょうど良い機会なので、このアンプの性能をバラします。
AB級パラレルプッシュップル方式の終段VRF150×4です。
ドレイン電圧は45Vかかります。
ドライブは65W~90W 推奨と記載されていますが、
ALC繋いでセーブしても50Wロードで500WのPOWERが出ます。
したがって良く言えば「余裕を持った設計」ですが、使い方によっては、もっと出てしまうアンプであります。
変更申請の際に、1KWで免許されたいのなら総通の検査の際に実測して500W超えの出力が余裕で出せるのであれば免許は1KWが下ります。もちろんその際には、俯角減衰量のハードルは高くなります。

東京ハイパワーが、この機種を550とネーミングした意図は何だったのか。
500Wでも1KWでも申請できますよという暗黙のサインなのか。いといろと勘繰ってしまいます。

いずれにしましても、オペレーターが良心を持ってリニアアンプを操作することが肝要です。